良いと感じた点
悪いと感じた点
歩行者・自転車とも、スマホに夢中になっている人が多い。
(20代/50代の方のコメント)
歩行者・自転車とも、好きなところで道路を横断している。
(40代/50代/60代の方のコメント)
ゲーテ・インスティトゥート東京所長。
ドイツ出身。世界各国に在住後、2年前に来日。
私は今までいろいろな国に住み、車の運転をしてきましたが、日本のみなさんは、すばらしいドライバーだと思います。日本人の一般的な性格だと思いますが、非常に規律を守るドライバーだと思います。交通安全に意識的で、慎重です。
ただ一方で、危険だと思うこともあります。たとえば、特にタクシーなどに多いですが、後ろにいる車のことをまったく考えずに急停止したり、脇を走る自転車のことを考えずに、急にドアを開けたりしますよね。また、慎重すぎて、流れを妨げるドライバーも見かけます。
ドイツの自動車学校では、自分がどんなミスをするかより、まわりの人が何をするかの状況判断を学び、訓練します。交通安全とは、そういうコミュニケーションの技術だともいえると思います。
歩行者が待つ信号のない横断歩道で止まらない車が多い、というJAFのアンケート結果があったそうですが、私自身は、少なくとも都市部では、日本のドライバーはよく止まっているように感じます。ただしそれは、「交通違反を犯さないため」のように思うのです。ドイツでは、信号のない横断歩道では、ドライバーが状況を判断し、渡りたそうな歩行者がいれば止まる、いなければ止まりません。そしてドイツでは、止まったときにドライバーは、歩行者に「渡ってください」と手などでシグナル(合図)を送ることが多いです。日本ではそういうコミュニケーションは、あまり見られないかもしれませんね。
実は私が日本の交通社会でもうひとつ気になるのが、「ながらスマホ」です。目や音は、他者や周囲の状況を把握して、次に何が起きるのかを予見するのに重要な要素のひとつですが、日本ではドイツに比べて、スマホをいじったり、音楽を聴いたりしながら歩いている人が、圧倒的に多いように感じます。
車はもちろん、自転車も、歩行者も、みんなが交通参加者です。ですから、車のドライバーだけでなく、自転車も、歩行者も、まわりの状況を見て、ほかの車や人が、どう行動するのかを考える必要があると思います。そして、お互いにコミュニケーションを取り合って、交通安全を心がける。日本の社会には、そうした点が少し欠けているように思います。
ドイツには「第七感」というテレビ番組がありました。第七感というのは、予見をするということです。たしか2006年に終了しましたが、毎週火曜日に5分間、交通教育をする、40年も続いた長寿番組でした。毎回、具体的な事故の事例が紹介され、なぜそのような事故が起きたのか、そうしたときにどのような行動をとるべきかなどを、実践的に教える番組で、子供も大人もみんな観ていました。もしかしたらそれも、役立っていたのかもしれませんね。(談)