手や足が不自由な人の日常動作を補助します。介助犬使用者(介助犬と生活する手や足などが不自由な人のこと)の指示によって、ドアの開け閉めや脱衣の手伝い、物を拾う・持ってくるなど様々な仕事をします。エレベーター入口のボタンを押す、ちょっとした段差や坂道で車イスを引っ張って乗り越える、といった補助もします。
様々な仕事の中でもとくに重要なのが、緊急連絡手段の確保です。例えば、使用者が家に一人でいるときに転倒した場合、家族が帰って来るまで起き上がれないことがあります。そんなとき、介助犬が電話を探して持ってきてくれれば、家族や近所の人の助けを呼ぶことができるのです。
なお、介助犬も盲導犬同様、公共交通機関に乗ったり、ホテルやお店に入ったりすることが法律で認められています。介助犬がお店に入る時は必ず「介助犬」と表示のされたケープ(お洋服)を着けています。
介助犬には仕事と人が大好きな犬が向いています。日本の介助犬のほとんどが、ラブラドールレトリーバーかゴールデンレトリーバー(またはそのミックス)です。候補犬は、生後2ヶ月から1歳まで飼育ボランティアの家で家族として育ちます。人が大好きになるよう愛情たっぷりに育てられますが、ここで基本的な動作の練習や社会ルールを習得します。1歳を過ぎると訓練センターに入所して訓練開始。スーパーや飲食店、映画館などに行ったり、公共交通機関に乗るなど様々な環境を体験します。そして2歳前後からは使用者との合同訓練が始まります。これが終了すると、国指定の法人で審査を受け、合格すれば介助犬として活躍できるようになります。
休んでいるように見えても介助犬はケープを着けているときは仕事中です。触ったり、口笛を吹いたり、自分のペットを近づけたりして介助犬の気を散らさないように注意しましょう。勝手に食べ物を与えるのもいけません。声をかけるときは犬ではなく使用者にお願いします。
車を運転中に介助犬と使用者を見かけたら、とくに後ろから側方を通過する際や横断歩道付近では、一時停止や徐行をして、安全を確保しながら通行しましょう。また、通行の障害となる路上駐車はやめましょう。加えて、健常者の人は身障者用駐車スペースに車を止めないでください。介助犬使用者には車を運転する人も多く、犬や車イスの乗せ降ろしに車のドアをいっぱいに開く必要があります。ドア開閉の妨げになる場所に、車やバイク、自転車を止めるのもやめましょう。